2011年1月からのエジプト情勢

米国のオバマ大統領は、エジプトのイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」について、その「反米的思想」に警戒感を示しているとされる一方、ムスリム同胞団が加わったエジプト政府と野党勢力の対話を支持するという、方向性としては矛盾する態度をとっていますね。
ムスリム同胞団を排除しろとは言っていない。
ということは、新政権にムスリム同胞団が入ることを是認するということでしょう。

また、ムスリム同胞団は「勢力の一つ」だが「過半数の支持を得てはいない」と述べ、反米イスラム勢力が次期政権を支配することはないとの考えを示したそうですが。
仮に本当にムスリム同胞団がエジプト国民の過半数の支持を得てはおらず、議会で過半数を取れなければ問題ないと考えているのでしょうか。

新政権ができた後、自由で公正な民主主義的な選挙が定期的に行われる保障はどこにもないでしょう。
政権内の少数派が様々な手段を用いて権力を掌握し、その後はその勢力が実質的にその国を支配してしまうという事例は、先進国以外では普通にみられることです。

初めは少数派で影響力は限定的と米国大統領が考えるムスリム同胞団が、やがてエジプトを支配し、エジプトはイスラム原理主義の国になってしまっていた、というリスクは当然想定されるでしょう。

それを米国大統領たるものが理解していないとは考えにくい。
米国オバマ大統領は、そうなることを何らかの理由で容認しようということなのかと考えられます。

将来的に、エジプトが第二のイランとなり、オバマ大統領は第二のカーター大統領と呼ばれる日が来ることも想定しておいたほうがよいように思えます。