核兵器の信頼性

まずは世界的に核兵器保有国と明確に認識されている国とその核爆発実験回数をみてみましょう。()内は大気圏内実験の内数

米国 1032回(215)
ロシア 715回(207)
フランス 210回(50)
英国 45回(21)
中国 45回(23)

これらの5か国については、明確に核爆発とわかる実験(大気圏内爆発実験)時の映像も公開されており、実際に爆発させたことがあることに疑問をさしはさむ余地はないと考えられます。

特に、米ロ2国の実験回数は抜きん出て多いばかりでなく、実際に航空機から投下したり、弾道ミサイルに搭載して発射して爆発させた実績もあります。

3番目に多い英国は45回であり、回数こそ米ロ仏に比べて少ないものの、米国と非常に親密な関係にあることから、データを米国から譲渡されている可能性も考えられ、実験回数に係らず、米ロ仏に劣らないデータを持ち、極めて信頼性の高い核兵器を持っていると考えられるでしょう。

中国については、他の4か国に比べると持っているデータが少なく、その核兵器の信頼性は他の4か国よりは低いものである可能性が考えられます。


この5ヵ国の他には、インドとパキスタンがそれぞれ6回の核爆発実験をしたとされています。いずれも地下で行われたとされ、一見明白に核爆発とわかる映像はありません。
当事者は核爆弾の実験をやったと主張しています。
地表面が変動した映像が公開されたり、第三者による地震波の観測などから、何らかの爆発が起こったことは間違いないでしょう。
ただし、インド・パキスタン双方の実験において、当事者が主張する内容と地震波の観測データの内容に相違があり、実際の回数はもっとすくなく、爆発の規模も主張と異なっている可能性が指摘されています。
本当に核爆発だったのかについて疑義が全くないとはいえず、仮に本当に核爆発だったとしても、実戦で使えるレベルの「兵器」として実用化されているかについては大いに疑義が有ると言えるでしょう。


他に、イスラエルについては憶測がなされています。
実験はしていないが既に保有しているだとか、南アフリカと共同で1回実験を行ったという説などがありますが、判然としていません。
英国同様、米国との関係を考えるとデータを譲渡されている可能性も考えられるでしょうが、憶測の域をでません。


北朝鮮については、北自身は2回やったと主張しています。
しかし、それを信じる人もいれば信じない人もいるというのが実際のところです。
地震波は観測されていますが、爆発規模についての見解は分かれており、大量の爆薬を爆発させただけであり、核爆発ではないと考える人もいます。
いずれにせよ、高い信頼性を持つ実戦使用可能な核兵器の開発に成功している可能性はまずないというのが実際のところでしょう。


このように、一口に「核兵器」や「核実験」といっても、その信頼性や内容は様々であり、国によって非常に大きな開きがあるということです。
核兵器に関して、何か考える場合にはこれをよく考慮に入れる必要があるでしょう。